そのOJT、なぜ人が育たないのか? “時間とゴール”が決まっていない現場の末路

「とりあえず付きっきりで教えて…」
「現場に慣れるまでは様子見で…」

そんな“行き当たりばったりのOJT”になっていませんか?

今回は、私のフランチャイズ飲食店でのアルバイト育成経験から、
「研修時間」と「ゴール設計」の大切さをリアルな目線でお伝えします。

目次

1. あなたの会社、研修時間って決まっていますか?

カレンダーとゴールのイラストを前に、研修の“時間”や“完了ライン”が不明瞭なまま進めようとして困惑する上司と新人

社内で研修を行うとき、

  • 「何時間やるか」決まっていますか?
  • 「どこまでできたら研修完了」なのか明確ですか?

実は、この2つが曖昧なまま育成を始めている企業が、驚くほど多いのが現実です。

2. フランチャイズ飲食店での育成経験——30時間で一人前

私はかつて、デリバリーピザチェーンの店長としてアルバイト育成をしていました。

そこでは明確なルールがありました。
「30時間の研修で一人前」です。

ピザ店で多様なスタッフが研修を受け、店長がチェックリストとタイマーで進捗管理している様子。一人前を目指して合理的に育成する現場のイメージ。

アルバイトスタッフと一口に言っても、様々な属性があり

  • 大学生
  • 高専生
  • フリーター
  • 主夫、主婦

など。働ける時間数も、時間帯も幅が広いです。
それを踏まえて

  • 出勤できる日数・時間に応じて逆算
  • 1回の出勤で何時間教えるか計画
  • 最長でも1日3時間以内(集中力の限界を考慮)

さらに、

  • メニュー知識テスト
  • 接客ロールプレイ

などを通じて、進捗をチェック。
結果、個人差はあれど、30時間未満で一人前になる人もいました。

「ここまでできたらOK」が明確だから、
本人も、教える側も、ゴールに向かって動ける。
とても合理的な仕組みでした。

これはフランチャイズチェーンに育成マニュアルがあったからだ、という前提もありますが、都市部や地方など、そしてスタッフの属性によっても左右される部分があります。

そのためチェーン本部が用意した一定のマニュアルに沿うだけではなく、自社に合った育成方法を考える必要がありました。

人材育成に答えはなく、常に工夫が必要なのです。

3. 中小企業に入って驚いたこと

多忙な上司が資料とタブレットを手に焦る中、新人社員が不安そうに指示を待っている様子。OJTの時間も仕組みも整っていない現場で、お互いがストレスを抱える状況を表したイラスト。

独立後、さまざまな中小企業を支援するなかで、私は驚きました。

  • 新人研修に時間設定がない
  • OJTも何を教えるかリスト化されていない
  • とりあえず「見て覚えろ」
  • いきなり8時間勤務スタート
  • でも先輩・上司にも教える時間がない

こんな現場が、普通にあったのです。

結果どうなるか?
新入社員は手持ちぶさた上司も「教えなきゃ」と焦るが、結局つきっきりできない互いにストレスが溜まる

この悪循環を、私はあちこちで見てきました。

先ほどの飲食チェーンの事例をお伝えしましたが、ある程度形が決まったものがあったとしても、そこからアレンジや工夫が必要なのです。

そう聞くと当たり前だな、と感じると思いますが、地方の中小企業ではそんな文化や仕組みが作られていないことが多かったのです。

4. 研修は短く、実践は多く——これが自然な育ち方

実は、人間の集中力や学習効率から考えても、

  • 座学や座ってのワークは90分〜3時間が限界
  • 長時間やっても定着率は落ちる
  • あとは実践して、転びながら学ぶのがベスト

これ、スポーツでも同じですよね。

たとえば、自転車の乗り方。
いくら理論を聞いても、結局は「乗って、転びながら」覚えるものです。

スーツ姿で自転車の練習をする新人社員と、それを笑顔で見守る上司。転ぶことも学びの一部として、実践から成長する様子を描いたイラスト。

あの名将・山本五十六の言葉にもあります。

「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、ほめてやらねば、人は動かじ」

つまり、
インプットばかりじゃダメ。 アウトプットとフィードバックをセットで回すことが必要なんです。

私は有料(20万円~30万円)のセミナーを都会に受けに行ったこともありますが、それは成長したいがために「自発的に」受けるものです。

これを言うと失礼に感じるかもしれませんが、社内で前のめりになって積極的に研修を受ける方、というのはどれくらいいらっしゃるでしょうか?

正直なところ、会社で言われたから受けさせられているというのが本音ではないでしょうか。

研修やコンサルティングを実施している講師がそう感じるのですから、本当のことだと思います。もちろんそれを前のめりにするのが弊社の価値ではありますが。

5. じゃあどうする?——現場で使える5つのポイント

オフィスの会議室で、講師がホワイトボードに書かれた「POINT 5」を指差しながら説明している様子。
  1. 研修時間を決める  → 1日最大3時間、1テーマ90分以内が目安。
  2. 研修ゴールを明確にする  → 「〇〇ができたら終了」と決める。
  3. シフト・スケジュールから逆算する  → 出勤回数×研修時間=目標達成スケジュールを組む。
  4. OJTにもカリキュラムを作る  → 「何を教えるか」をリストアップしておく。
  5. 実践→振り返り→修正のサイクルを回す→ 転んでもOK、でも必ずフィードバックする。

まとめ——研修も育成も、「時間とゴールの設計」から

スーツ姿のビジネスパーソンが、円グラフや成長曲線が描かれたボードを指しながら説明しているイラスト。研修や育成における「ゴール設計」や成果報告の場面を表している。

新人育成は、
気合いや感覚ではうまくいきません。

  • 研修は短く、メリハリを
  • ゴールを明確に、逆算して設計
  • 実践とフィードバックを繰り返す

これができるだけで、
育成スピードも、定着率も大きく変わります。

そして何より、
新人自身が「自分はできるようになってきた!」と感じられる。
それが、離職防止にもつながるのです。

✍️ ポイントメモ

  • 研修は短時間集中
  • ゴール設計と逆算スケジュール
  • 実践重視→転んで覚えることもある
  • フィードバック文化を作る

Next Action

もし、

  • 「うちのOJT、なんとなくやってるかも…」
  • 「育成設計がないから人が育たない気がする」
  • 「そういえば新人さんの放置を目にする」

そんな風に感じたら、今すぐご相談ください!

弊社で研修を実施する、というだけではなく、現場に即した研修設計・OJTマニュアル作成サポートを、ゼロから一緒に作り上げましょう!

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